メジャー1年目の藤浪晋太郎の活躍が素晴らしい!!
所属しているオリオールズを7年ぶりのリーグ優勝へ導きました。
同じ日本人として、嬉しい限りなんですが…
- なぜこんなに活躍することができたのだろう?
- そもそも日本のプロ野球界で目を見張るような活躍していなかったのに、なぜメジャー契約できたのだろう?と疑問に感じました。
今回は、そんな疑問をあらゆる視点から分析していきたいと思います。
なぜメジャー契約できたのか?
敏腕代理人スコットボラスの存在とメジャーへの強い憧れ
藤浪晋太郎には、強いメジャーへの憧れがありました。
かつて現役のメジャーリーガーのダルビッシュ有や前田健太との自主トレを志願したことからもその本気度は伝わってきます。さらに2021年のオフシーズンに球団幹部にポスティングシステムの使用を訴えていました。
メジャー移籍の夢を実現するために、敏腕代理人スコットボラスと契約を結びました。スコットボラスは、多くのメジャーリーガーと代理人契約を結んでいます。日本人との契約だと、2006年に松坂大輔を西武ライオンズからレッドソックスへ。2019年に菊池雄星を西武ライオンズからマリナーズへ。それぞれ移籍させています。
スコットボラスの存在は、メジャーの中でも絶対的なものでその一挙手一投足が注目の的です。
メジャーリーグにおいては、最も影響力のある代理人と言える。強面のする風貌と歯に衣を着せぬコメントで、メジャーリーグのご意見番のような存在でもある。シーズンオフになるとメジャーリーグの様々な話題に対するスコット・ボラス氏の言動が連日のようにメディアで報道される。
菊池雄星の代理人スコット・ボラス氏とは? MLBで最も影響力のある辣腕家、大手事務所と一線を画す異質な存在 | ベースボールチャンネル (baseballchannel.jp)
メジャー市場を大きく動かすスコットボラスとの契約は、間違いなく藤浪晋太郎のメジャー契約に一役買っています。
メジャーへの憧れは、日本人メジャーリーガーのパイオニア野茂英雄や元メジャーリーガー青木宣親、現役メジャーリーガーダルビッシュ有、他にも世界で活躍するアスリートの話を聞くうちにどんどん大きくしていきました。
好奇心ですね。知りたい。経験してみたい。どういう世界なのか飛び込んでみたい。力試しをしてみたい。そんな感情が大前提にありました。ただ、メジャーという舞台は「行きたいならどうぞ」という世界ではない。チャンスがあるなら、その時しかない。あの時は今言わないと後悔する、野球人生が終わった時、死ぬ時にめちゃくちゃ後悔すると思ったんです。
【独占直撃】藤浪晋太郎「死ぬ時の後悔を少なくしたい」メジャー挑戦の裏で鳥谷敬氏マインド継承 - MLB : 日刊スポーツ (nikkansports.com)
一度きりのプロ野球人生、悔いなく終わらせるには自分が望む場所で野球をするべきなんです。そこで、成功できるのか失敗するのかはやってみないと分かりません。まず挑戦したということが私は凄いと思います。
高身長で160キロ越えの直球とフォーク(スプリット)を多投できたから=希少な存在
藤浪晋太郎のスプリットを多投できる投球スタイルは、メジャーの中でも希少な存在で、敏腕代理人のスコットボラスは下記のように藤浪晋太郎を評価しています。
「米国でも、球威があってフォーク(スプリット)がある投手はわずかしかいない。市場での需要は高い。多くの球団が必要とするだろう」
【阪神】強気ボラス氏の背景に藤浪晋太郎の希少特性あり スプリット30%超にも「全然大丈夫」 - プロ野球 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)
メジャーでは、フォーク(スピリット)を「デス・ピッチ」と呼ぶことがあるほど体への負担が大きくなかなか多投できる球種ではありません。体に負担がかかるこの球種を投げ続ければ、肩や肘に故障を起こすリスクが高くなります。だから、メジャーでフォーク(スピリット)を投げる投手が少ないのです。投げれても多投できる選手は、さらに希少なんです。
それに加えて藤浪晋太郎は、160キロ越えの直球も武器にしておりフォーク(スピリット)の球速も145キロ以上出ます。直球かと見間違えるほどの高速フォーク(スピリット)は、打者はそうそう打てる球ではありません。
かつて所属していた阪神タイガースの矢野監督は、藤浪晋太郎の高速フォークをこう評価しています。
「(藤浪)晋太郎のあの速さで(球を)落とされたらバッターは簡単には打てない。逆に言うと真っすぐだけならバッターは対応しやすい。あの真っすぐを、より速く見せるフォークやスプリットで空振りを取れ出したら…。(相手は)速いボールに合わせてくると思うから、投球の幅は広くなるんじゃない」
阪神・藤浪147キロフォーク!! 「簡単には打てない」矢野監督 - サンスポ (sanspo.com)
さらに藤浪晋太郎の高身長もフォーク(スピリット)との相性は抜群です。高いところから投げ下ろされた球は、より角度がついて脅威に感じます。
藤浪晋太郎の身長/体重は、198㎝/82㎏。メジャーリーガ―の平均身長/体重は、187㎝/95㎏と言われています。
つまり藤浪晋太郎が投げるフォーク(スピリット)は、
- メジャーリーガーの中でも高身長から放たれるボール
- メジャーリーガーでも扱う投手が少ないボール
という2点の要因からメジャーでも非常に珍しいボールであることがわかります。
私の中でメジャーで活躍したな、活躍しているなと思う投手たちも、やはりフォークボールを投げれて、身長/体重に恵まれた投手ですね。
- ダルビッシュ有 196㎝/100㎏
- 上原浩治 187㎝/87㎏
- 黒田博樹 185㎝/93㎏
- 野茂英雄 188㎝/99㎏
小さくても活躍できる選手がいることも分かりますが、やはり体格がものを言う部分もあると思います。
阪神タイガースの事情
日本のプロ野球界で1,2位を争う人気球団の阪神タイガース!藤浪晋太郎の高いポテンシャルが好成績に繋がらないのは、球団的には凄く歯がゆかったと思います。
他球団は「うちでなら藤浪晋太郎を成長させることができる」と阪神タイガースに藤浪晋太郎のトレードを打診していたと言われています。しかし、阪神タイガースはその打診を拒否し続けていました。
大阪桐蔭高からドラフト1位で入団し、3年連続10勝以上を記録するも、その後は鳴かず飛ばず。だが、ポテンシャルの高さから、ひっきりなしにトレードの申し入れがあった。球団関係者が内情を明かす。
「11球団が複数回、阪神側にトレードを打診しましたが、メンツを気にする球団は『ドラフト1位がヨソで活躍されたら困る』と、かたくなに拒否。
阪神・藤浪晋太郎メジャー挑戦で露呈した「トレード全破談」のアホバカ舞台裏 | アサ芸プラス (asagei.com)
上記の記事の通り、もしトレード先で活躍してしまった場合、阪神タイガースの育成能力不足が露呈してしまいます。
それを恐れていたのです。
その結果メジャーという全く環境の違う場所へのトレードなら、もし活躍してもそこまで実害はないと球団が判断しました。
球団が容認しなければ使うことができない「ポスティング・システム」でのメジャー移籍なら、藤浪の「夢」を後押ししたという、球団の英断にも映る
(2ページ目)「もし藤浪がヨソで活躍してしまったら…」阪神タイガースが藤浪晋太郎のトレードに消極的だった“人気球団あるある” | 文春オンライン (bunshun.jp)
表では、藤浪晋太郎のメジャー挑戦という夢を後押しする球団。
裏では、バッシングを恐れてメジャーへの挑戦のみ許した球団。
ちょっと寂しい感じがしますね。
このような形でのメジャー挑戦になってしまったのは、やはり阪神タイガースが超人気球団が故なのかもしれません。
なぜメジャーで活躍できているのか?
環境の変化がメンタル面のプラスに働いた
藤浪晋太郎は真面目すぎる性格が故に、常に全力でプレイしていました。プロとして常に全力なのは素晴らしいことですが、時には遊び心も持つことも上手くやっていくには必要不可欠なものです。
なぜ遊び心を持てなかったのかと言うと、日本プロ野球界の人気球団阪神タイガースの選手だったから。常に人の目を感じることで手を抜くことができない。そんな環境に藤浪晋太郎は苦しんでいました。
あまりにも苦しそうな姿から、藤浪晋太郎はイップスなのでは?とファンや野球解説者が議論してました。
そういう論争は藤浪晋太郎にとって雑音でしかなく、メジャーへ移籍する際の条件でも落ち着いた環境を求めていました。
移籍先を決める交渉の中では、落ち着いた静かな練習環境も重視した。人気球団の阪神で想像を絶する注目を浴び続けた大器にしか分からない、ピュアな願望が胸の内に存在した。
【独占直撃】藤浪晋太郎「死ぬ時の後悔を少なくしたい」メジャー挑戦の裏で鳥谷敬氏マインド継承 - MLB : 日刊スポーツ (nikkansports.com)
望んだ環境があるメジャーへ移籍したことによって厳しい人の目からの解放とメジャーで成績を残している選手のいい加減さを学び、ピッチングに遊び心がうまれたのだと思います。
現在の環境について藤浪晋太郎は、2023年9月17日にプレーオフ進出を決めて行われたシャンパンファイト後のインタビューで下記のように答えています。
「すごくいいチーム。オークランド(・アスレチックス)もいいチームでしたけど、このチームも自分が入りやすいように話しかけてくれたり、いい環境作りをしてくれた。溶け込みやすかったですし、いい環境でやらせてもらっていると思っています」
藤浪晋太郎が「一番いい形」と望む、オリオールズの世界一と阪神の日本一 抑えの選手が離脱中でプレーオフでは重要な存在に | MLB | MLB | 野球 | web Sportiva (shueisha.co.jp)
やはり環境の変化は藤浪晋太郎にとって、非常にプラスに働いてくれたようですね。
だって上の添付画像の藤浪晋太郎の笑顔を見てくださいよ。めちゃくちゃいい顔してるじゃないですか!!やっぱり勝利のお祝いって嬉しいですよね。
私が少年野球をやっていた時に、大会で優勝したりそこそこの成績を残せたときはご褒美で祝勝会をやってましたね~あの瞬間は、めちゃくちゃ楽しかったことを鮮明に覚えています。きっと当時の私の笑顔は、添付画像の藤浪晋太郎に負けず劣らずだったと思いますww
最高球速が162キロから165キロへUP
日本での最高球速は2020年に記録した162キロ。現在の最高球速は165キロ!日本にいた頃より3キロも速くなっています。
この要因は、マウンドの変化によるものです。
野球規則でピッチャーマウンドの形状や位置、距離などが厳密に決められています。
- サークル部分は直径直径18フィート(5.4864m)
- 高さは10インチ(254mm)のおわん型の盛り土にすること
など事細かく決められているのですが、マウンドの土の性質に対しての決まりはありません。だから、球場によってマウンドの硬さが違うという状況が生まれるのです。
そして、その違いは日本のマウンドとメジャーのマウンドとで顕著になります。一般的に日本のマウンドよりメジャーのマウンドの方が硬いと言われています。
- メジャーのマウンド=粘土質の土
- 日本のマウンド=砂混じりの土
日本の多くの野球場のマウンドとメジャー・リーグのマウンドでは固さが違ったのです。
メジャー・リーグの球場は土質も固めやすい粘土質のものが好まれます。
日本の多くの野球場の場合、砂混じりの土が多く含まれています。
なぜ日本人投手は米国MLBでひじを壊すのか? 大谷翔平投手、藤川球児投手、和田 毅投手… | スポーツ | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)
硬いマウンド=球速が上がる理由は、
- ステップした足が、硬いマウンドに固定され軸がぶれない。
- 軸が安定した状態での投球動作は、腕のしなりを最大限活かすことができる。
という具合です。
図1-3 クレイマウンド(固いマウンド)による投球速度向上のメカニズム
なぜ日本人投手は米国MLBでひじを壊すのか? 大谷翔平投手、藤川球児投手、和田 毅投手… | スポーツ | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)
日本にはない硬いマウンドへの順応を藤浪晋太郎は上手くできたのでしょう。その結果、日本での最高球速162キロから165キロへと上昇させました。
速い球って打ちずらいですよね。私、ストレス解消でバッティングセンターに行くんですけど、逆にストレスが溜まるから130キロ以上の打席なんてチャレンジしませんもん。気持ちよく打つには100キロくらいが丁度いい♪
適材適所 先発から中継ぎへ配置転換
藤浪晋太郎は、日本にいるときから先発への強いこだわりを持っていました。
私も野球経験者で投手をしていたので、この気持ち少しわかるんですよね。私の場合は、まだ誰にも汚されていないまっさらなマウンドに特別な感情を抱いてました。だから先発が良いし、自チームが後攻ならさらに良しと思っていました。
藤浪晋太郎の先発にこだわる理由は、もしかして私と一緒なのでは?と思い、調べてみると下記のような発言を見つけました。
「快感と言ったらちょっとダサい感じになりますけど、自分が野球やっている中で先発の勝ちが一番気持ちのいい瞬間なので」
6年連続減俸の阪神藤浪晋太郎、腹くくり先発再挑戦 あえて挑むいばらの道 - プロ野球 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)
一番気持ちいい瞬間を得るために、先発にこだわっていたようです。
その先発での強いこだわりは、メジャー移籍する際にも垣間見えます。
「契約金額だけならば、もっと高い提示も他球団からあったはずだ。藤浪がこだわった先発のチャンスを、今季のアスレチックスが与えるということだ」
藤浪晋太郎、決断のキーワードは“先発”「高額な契約金より、こだわった先発の椅子」出来高も先発登板数で設定:中日スポーツ・東京中日スポーツ (chunichi.co.jp)
藤浪晋太郎は、阪神タイガース時代に先発も中継ぎも経験しました。その映像を見て複数の球団が先発よりも中継ぎの適性を感じていて、中継ぎで起用したいとオファーしました。しかし藤浪晋太郎は、先発へのこだわりを優先させて自分を先発で起用してくれるチームを選びました。
メジャーに移籍した当初は希望通り先発で起用されていました。残念なことに先発への熱い想いは結果にはつながらず…4月後半に先発から中継ぎへの配置転換をしました。そこからの成績は不安定だった先発の頃と比較して安定してきました。
特に注目すべき数字を紹介します。
防御率=その投手が9イニング(1試合)を投げたとしたら何点に抑えられるかを示す指標。
先発起用されていた4月の防御率は、13.00!!この数字は、マズいですよ…1試合投げて、13点も取られる投手なんて負け確定です。
そこから中継ぎに配置転換された防御率
5月:10.50
6月:4.35
7月:2.93
8月:5.68
9月:4.15
徐々に良くなっていますが、この数字をみてまだ防御率高いなという印象です。藤浪晋太郎のポテンシャルならもっと改善できると思います。
ストレートの被打率=その投手が投げるストレートがヒットやホームランになる確率。
先発起用されていた4月のストレートの被打率は、.323。
中継ぎに配置転換されてからのストレートの被打率
7月:.182
8月:.217
9月(9/16まで):.000と全く打たれていません。
先発で長いイニング投げるとなると、体力のペース配分が重要になります。藤浪晋太郎は、それがうまくできずに先発で結果が残せませんでした。しかし、中継ぎは多くても2イニングを任される位なので常に全力投球できる!!そのおかげでストレートの被打率が、低下しました。
みる人がみれば藤浪晋太郎の中継ぎ適性はわかるようで、元プロ野球選手のラミレスは自身のユーチューブチャンネルで下記のように藤浪晋太郎の中継ぎを評価しています。
「藤浪投手を数年見てきたけど、彼がメジャーリーグに通用する方法を僕は分かっている。Twitterでも呟いたけれどリリーフの方が先発よりはるかに効果的だ!」
「2Aまで落ちるだろう」“悪戦苦闘”の藤浪晋太郎にラミレスが助言! 制球難の剛腕が“先発ローテーション”に戻るには?(THE DIGEST) - Yahoo!ニュース
「リリーバーになれば自信を取り戻しストレートの精度が上がるし、1~2イニングであれば、20球程度かそれ以下なので、プレッシャーを感じずに全力投球できるはずだ」
結果も出ているしやはり藤浪晋太郎の生きる道は、中継ぎなんだと思うファンや野球関係者だが、藤浪晋太郎はまだ先発に強いこだわりは持っているようです。
藤浪本人は8月の時点で「現状で求められるのは先発ではないので、今季は中継ぎに徹することになる」と話している。だが、同時に「それ以降(来季)はできれば先発をやりたいと思います」と熱い思いも吐露しているからだ。
【野球】中継ぎで覚醒したオリオールズ・藤浪晋太郎は来季、先発再転向にこだわるのか/インサイド/デイリースポーツ online (daily.co.jp)
先述した通り、自分が一番気持ちいい瞬間を追い求める姿勢は持ち続けているようです。そのくらいのエゴイストでなければやっていけない世界なのかもしれません。
果たして来季の藤浪晋太郎は、先発なのか中継ぎなのかどっちになるのでしょう?
いち野球ファンとしては、藤浪晋太郎が納得してどの役割だろうと活躍してくれれば嬉しい限りです。